深海鮫と肝油

深海鮫という生物を知っているでしょうか?

深海鮫とは水深1000メートルという深海に生息している鮫のことで、この深海鮫の肝臓から深海鮫肝油とよばれている油を抽出することが出来ます。

最近、この深海鮫からとれた肝油が少しずつ広まってきています。

昔の肝油ドロップはタラの肝油を主な原料としていて不快な臭いが特徴でしたが、深海鮫の肝油から作られた最近の肝油は、とても食しやすくなってきているのもその理由かもしれません。

肝油といえば戦後の物資が不足していた時代に、学校給食などで肝油ドロップとして食されてきました。年配の人にとっては肝油はなじみの深いものだと思います。

深海鮫と肝油の歴史

実は深海鮫の肝油の歴史はとても古くて、2000年以上も前の漁師さんの間で食されてきました。

スカンジナビアのバイキングたちの間でも深海鮫の肝油を使っていたことが分かっています。

中国でも当然、この深海鮫の肝油は研究対象とされてきました。

今から600年前の明の時代に書かれた「本草綱目」という漢方薬の書物の中に、深海鮫の肝油成分に関する記述があります。

その書物で深海鮫の肝油の解毒作用があると記録されています。

そのため喘息や感染症、皮膚病、アレルギー、腫瘍といった幅広い病気に対する効果があることも書いてあります。

ところが19世紀に入ってからは、他にも栄養のある食品が広まることで、深海鮫の肝油はあまり食されなくなっていました。

しかし1906年に辻本満丸博士が深海鮫のクロコザメの肝油からスクワレンという栄養素を発見したところから、再び深海鮫の肝油が復活しました。

このスクワレンは細胞組織に酸素を供給して、新陳代謝を促してくれるという作用があることが分かりました。ではなぜ深海鮫の肝油にはこのスクワレンが多く含まれているのでしょうか?

深海鮫の生態と、肝油の関係とは?

深海鮫は水深300メートルから1000メートルという深海に生息しています。

このような深海になると太陽光線が届かず真っ暗です。

よって光合成を起こすことが出来ませんので水中の酸素濃度がとても低くなっています。

深海鮫はときどきこの深海から海面近くまで上がっては、酸素を補給して再び深海に戻っていくのですが、水圧の高い深海に適応するために深海鮫には浮き袋も肺もありません。

では深海鮫はどうやって酸素をとりこんでいるかというと、深海鮫の肝臓の肝油に大量に含まれている肝油が活躍するのです。

たとえば深海鮫のアイザメは体の3割が内臓であり、その80%が肝臓です。

この肝臓の肝油に含まれているスクワレンに酸素がたっぷりに蓄えられることができるのです。

そのために深海鮫は酸素がほとんどない深海でも、肝臓の肝油が確保した酸素が血液を通して各細胞に酸素をおくることで、生命を維持しているわけです。

まさに自然の神秘。よく出来ているなぁと感心させられますね。

このように肝油のおかげで、深海鮫は環境の厳しい深海でも3億年も生命を維持してくることが出来ました。

ぜひこの自然のパワーである深海鮫の肝油で、あなたも健康的な生活を送りましょう。


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